2週間というわりと長いツアー。

プロモーターの話によるとブラジルは今経済破綻のような状態になっているらしい。

貨幣価値が下がっているのか知らないがモノの値段がドルから見るとすごく下がっているらしい。

ご飯などは安く食べられるが、ローカルのクラブなどで演奏しても予算が回収できないため大きなフェスティバルのみの演奏になり、途中５日間丸々休みというスケジュールだ。

海外ツアーで一番気になるのは水事情。

ブラジルはうがいや歯磨き程度はOKだが飲み水は購入するのがよいとのこと。

インドネシアなどの酷いところでは飲み水やうがいはもちろん、水洗いをするサラダなどでもお腹を壊すので気をつけなくてはいけない。

ちなみに英語は全く通じない。

英語の普及率は日本と同程度のようだ。

サンパウロからリオデジャネイロへ。

サンパウロへ向かう10時間のフライトは結構めちゃくちゃだった。

満席だったがみんなガチャガチャして手荷物をしまう棚を取り合ったり早く自分の席を見つけたい人が周りを押し退けたり赤ちゃんが泣き叫んだり。。

赤ちゃんが泣くのは関係ないが、こんなに民度の低い客層も珍しい。

僕は真ん中４つ並びの廊下側の席についてびっくりしていると

スーツケースを５個持ったユダヤ人が乗ってきた。

顔は真っ赤で目が血走っていてうーうー唸っている。

人一倍周りを押しのけて狭い機内を大きな荷物と共に動き回って荷物をいれる場所を探している。

混んでいるので持ち込みは１個にしてくださいと言われているところに５個持ち込みはヤバい。

これは危なそうなやつが来たとおもって関わらないようにしていると

うーうー唸りながらぼくの横にやってきた。

何も言わず至近距離で僕の方をみつめてくる。

僕は恐る恐る聞くと、何も言わず顔を近づけて見つめ続けてくるだけ。

避けてあげると無言で中に入り僕のとなりの席に座る。

最悪だと思いながらも１０時間なんとかやり過ごす方法を考える。

するとさらに隣の席にさっきの泣き叫んでいた生まれたての赤子を抱いたお母さんが座る。耳をツンざくような大きな泣き声。

人種差別だなんだと昨今はややこしいが、事実として僕はユダヤ人の人とうまくコミュニケーションが取れたことがない。

いつもこちらがナイスに接しても怪訝そうな顔でこちらを無言で睨むだけだ。

差別しているわけではないが文化の違いなのか保守的なのか、知らずに話かけると心に大きな傷を負ってしまうので覚えておいて損はないだろう。

座ってからもごそごそとずっと何かやっている。

１０時間フライト、６時間乗り換え、２時間フライト、そして３時間車という長距離移動に備え少しでも睡眠を確保するためノイズキャンセリングのヘッドホンをしようとするが上の棚にしまってしまった。

出そうと立ち上がり棚を見渡すと物凄い視線を感じる。

その旦那さんと奥さん、そして赤ちゃんまでがものすごい形相でこちらを見ている。

なんなのだろうか、、気味が悪い。

イヤホンは諦めてなるべく関わらないようにブランケットを羽織り、終始目を閉じていることにした。

しばらくしてうとうとしていると、

何事かと思って飛び起きたがそいつが僕を起こし、他の国の言語で何か言っている。

というとそっぽを向いてしまった。

奥さんも反対側の人に何か言っていたがその人も同じように関わらないようにしていた。

おそらく真ん中は狭いから席を代わってほしいとか、他のところに移ってくれとか言っていたんだと思う。

気を取り直してしばらく寝ていると

、、、、、これを１０時間の間に２０回くらい繰り返す。

さすがに頭が狂いそうだったので他の場所に移動したかったがあいにく満席。

しかも全体的に民度が低い感じだったので余計なことをするとさらにトラブルに巻き込まれそうだったので静かに我慢する。

それからもその二人はフライトアテンダントの人にジュースをくれだの、宗教上の理由か知らんが特別な食事を出せだのいろいろ言っていた。

『特別な食事は事前に予約と支払いが必要ですが履歴がないので無理です』

必死に『払った払った。よこせ』的な単語を羅列していた。

アテンダントの一人が余分なものがあるからと渡すと

『本当にこの人たち信用するの？』

ありがとうのない世界

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