モントリオールジャズフェスティバルでの演奏。

ニューヨークからカナダは1時間半ほどのフライトとかなり近いが、くるのははじめてだ。

アメリカの市民権を持っている、またはグリーンカードを持っている外国人はeTAという滞在ビザは最近必要なくなったようだが、アメリカの就労ビザしか持っていない僕は必須だ。

しかし購入までの情報入力がめちゃくちゃにややこしい。

今回は就労目的での入国だったのもあるのだろうか、事前申請でエラーにエラーを重ね、２時間半くらいかかった。

バンドメンバーは僕以外全員市民権、またはグリーンカードを持っているため、誰かの助けを借りることもできない。

最後のほうは値段倍でもいいから早く払わせてくれと切に願った。

こんなに＄８を支払いたいと思っている人も珍しいだろう。

じつは滞在ビザもややこしい手続きも、車や電車でアメリカから入国すると必要ないらしいが飛行機なので完全に海外渡航扱い。

ついでに意外とコロナの水際対策が厳しいカナダ。

ArriveCanというアプリにこれまた大量のコロナ関係の情報を入力。

かなりの労力だったが、実際に入国する時は拍子抜けするくらいスムーズだった。

ついてびっくりしたのは、フランス語だったということ。笑

僕が特別無知なのかもしれないが、マジか！となった。

地続きでほぼ同じ国のような雰囲気を醸し出しているのに言葉が違うのは違和感がある。

建物や街の雰囲気は距離が近いのもあり、ほぼアメリカ。

綺麗で新しい建物に混じってチラリと見え隠れする歴史が素敵だという印象。

日本ぽい雰囲気や装飾なども目につき、日本人も意外といるのだろうか。

やぐらが組んであって、提灯に出店と盆踊り会場のような場所を見かける。

七夕でもやっているのだろうか。

子供の頃の地元札幌の盆踊り会場を思い出す。

お祭りというのはなんでこんなに子供の心を揺さぶるのだろうか。

アメリカ人をナイスにして心の余裕を１００倍くらい足して嫌味な感じを全て取り払って表裏をなくしたかんじ。笑　ブラジルに引き続き嫌な思いをほとんどせず過ごすことができた。

ブラジルの女性はセクシーで人当たりがよくて笑顔が素敵だったが、

カナダの女性はオシャレでクールな感じだけど壁がなくて話しやすい印象。

モントリオールジャズフェスは世界で一番大きなジャズフェスの一つらしい。

他に大きなジャズフェスといえば、こないだいったインドネシアJavaジャズ、コロナ前に行ったニューオリンズジャズフェスなどがあるが、

モントリオールはなんと１０日間開催。（！！！）

街全体がフェスティバルのようになっていて音楽があふれるなんとも素敵な場所だ。

物価は普通に高いなと思った。

今はアメリカドルが少し強いがそれでもニューヨークと比べても同じくらいな印象。

カナダは水道水安全なのかな、と頭の片隅では思っていたがフェスにはペットボトルの水がおいてあったしあまり考えずに行動していた。

朝出発の前にホテルで水を探すと見つからない。

不思議に思っているとこんな張り紙が。

『プラスチックがもったいないから水は売りません。

水道水が飲める国は世界で15ヵ国ほどしか無いようだが、カナダはそのひとつ。

モントリオールは意外にも軟水っぽい感じ。

世界の水マスターに俺はなる！

スタッフはアメリカのサクサク感と、ブラジルのゆったりした感じをうまく足した感じ。

ナイスでモチベーションが高く、ダラダラしすぎず仕事も早め。かといってストレスを抱えすぎている感じもない、ちょうど良いバランス。

だいたいこのセッティングだが、グランドピアノはアコースティック感とジャズ感が強くなる。

バンドや曲の雰囲気によってはキーボードの方がよいときもあるが個人的にはピアノがあったほうがやりやすい。

ピアノはマイクで音を拾うためステージのバンドの音量が大きいと厳しいし、聞こえ具合や演奏のしやすさをエンジニアに左右されるのが玉にキズ。

今回はモニターはローズの右側に置いてあったが、この場合ピアノを弾くとモニターが背中側にあるため音がかなり聞こえづらい。

さらにサウンドチェックの時からわかっていたが、ローズの音が歪んでいる。

ステージのスタッフに伝えたが、

『うーん大丈夫だと思いますけどね』みたいな感じだったので、

『わかりました、なんとかします』

と流してしまったのが大きな誤ち。

いつも散々自分に言い聞かせているが

良い結果を残したい、良い仕事をしたい、

良いサービスを提供したいなら人のことを信用してはならない。

自分で判断し、強い心でベストを尽くし続けることが必要だ。

人に頼ることは大事だが、人任せや受け身になるといけない。

全ての仕事に責任感を持って取り組めるように自分のモチベーションを保つ工夫をしていきたい。

『この人はサウンドのプロだから自分より詳しいだろう』

という思考が働いてしまった。

その結果、1stセットは曲が進むにつれてどんどん音が歪んでいき、強弱もつけられなくなっていった。

音は潰れてカスカスになっていき

さらにピアノに逃げるが、ピアノに向かうとモニターが背中になるので環境は最悪だ。

これをミュージシャンの間では、

『I hear everything, but can’t feel it 』

聞こえてるんだけど感じることができない、という意味だが、音楽のエネルギーやみんなの意図が伝わってこないと言うことだ。

単純に音量の問題だけではないのでよく大きなフェスやステージでは、あえてミュージシャン同士が近づいてセッティングして、より“感じられる”ようにする。

プロならどんな環境でも文句言わずなんとかしろという声が聞こえて来そうだが、

それはそうなのだが常に最高の音楽を提供する“環境”を整えるのも仕事の内だと思う。

演奏の環境により提供できるクオリティは雲泥の差だ。

より感じられるセッティングの工夫として

1 メンバー同士が近づいてセッティングする。

3 モニターを出来るだけ自分に近づける。

4 モニターを2つ別アングルに置く．

5 モニターが常に自分の体の横（耳に直線で届く）位置に置く

１stセットは集中できなかったがなんとか形にして終わり、次のセットまでになんとか対策をする。

いそいでエンジニアに話にいくととても良い人で、僕の立場に立ってベストな方法を一緒に探してくれた。

僕もこういう態度で他人に対して接したいものだ。

僕は２と５を実践するためにエンジニアに、モニターをピアノとローズの間に置いてもらえるように提案する。

『音の通り道にピアノの角があってあまり良くないからモニターをもう一つ出しましょう』

結果、ピアノの左側、そしてローズの右側に１つずつモニターを置く。

バランスが同じであれば、一つモニターが増えてもそこまでエンジニアの負担はない。

そしてモニターの高さをあげることでより耳の高さに近くなり、