ラブアンドヘイトの社会を生きる。1

2022/10/30 by 泉川貴広

人が他人に優しくする場合、その優しさに裏はあるのか。 ニューヨークのラブアンドヘイトについては何回か触れた気がするが、今回久しぶりにわかりやすい出来事があったので共有しておく。 ニューヨークでミュージシャンをやる以上、 自分が誰かに対してUseful enough(十分に便利) である限りは人が優しく接してくる。 というのは事実だと思う。 自分に対してとても優しく接してきていた人が、演奏で一度でも自分の思っているものと違うことがあると急に豹変し暴言を吐き態度を豹変させる。 これは日常茶飯事で、 他人の評価はある程度は理に適っている場合もあるし、特にNYの ”納得できる範囲である程度正しく公平な評価”


は僕が大好きな部分の一つだが、

リーダーや評価する人のその時の気分や求めているもの次第で大きく変わることも事実だろう。


もちろんリーダーのリーダーシップ不足やマネジメント不足の場合も多い。


そのような自分のコントロール外のことにいちいち惑わされないためにはどうすればよいのか?



今回オールスターセッションというテイのフェスでの演奏の仕事があった。


各楽器ともに現在30-40代では世界トップと言って差し支えないだろう。

ジャズ、ヒップホップ業界では世界で知らない人はいないくらいのプレイヤー達。


僕も縁あって年に何回かは彼らと一緒に演奏する機会があるのだが、僕だけはプレイヤーとして知名度があるわけではないのでやはり扱いには差がある。


僕の強みは、世界トッププレイヤーとアンサンブル出来る程度の最低限のスキルに加えて


あらゆる起こり得ることに対する事前準備、丁寧な仕事、時間を必ず守ること、


そして他のメンバーが曲を忘れたりコード進行を間違えてしまったなどステージ上で問題が起きた時にフォローする、など細々としたサポートにあると自負しているが、


今回もいつものように


『明日ベースが忙しくて来れなくなったからピアノパートの他にシンセでベースもやれ。』


と言われる。まぁそれ自体は珍しくもなんともないので、本番でやりそうな曲やいままでやった曲、リーダーの最新アルバムのオリジナルなど


時間が許す限り調べピアノパートに加えベースパートも練習しておく。


いつもセットリストを作らずリーダーがやりたいものを思いつきで演奏するので、事前準備をしてこない有名なミュージシャン達とのセッションの時ほど


僕のようなつぶれ役は重要だといえる。


リーダーも流石に今回は僕の負担が大きいと思ったのかもう一人キーボーティストに声をかけてくれた。


運良くこれまたトッププレイヤーが捕まった。


しかし


『多分いけると思うけど』


くらいのニュアンスだったみたいでリーダーは


『キーボーディストが来たらお前はベースと雰囲気作りのシンセサイザーを、来なかったらベースとメインのピアノパートをやれ』


と僕に指示。


この時点でリーダーの思考は有名なドラマーとキーボーディストをいかに気持ちよく演奏してもらうかと、2人をフィーチャリングして目立たせるかという思考方向に変わってしまう。


結果僕の仕事はより増えただけなのだが仕方ない。


僕自体にネームバリューがないのだから他のミュージシャンよりも他人に与えられるものは少ないので当然といえば当然の話。


ここで大事なのはキーボード選びだ。

音響の人のためにも、当日のステージのセッティングやスペースの事情も考えると使えるのは2個が限界だ。


一つはシンセベース、なので残りは一つ。


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