僕はピアニストだが、作曲、アレンジもする。
こういう人は増えてきたし、ミュージシャンとプロデューサーの壁もなくなってきた。
さらに最近はプロデューサー=ミュージシャンでありアレンジャーであり、そしてミックス、マスタリングまでやることも多い。
ミックス、マスタリングとは音のバランスや音域を整えて、ステレオという決められた枠の中で最大限によい音楽表現をすることだと勝手に思っている。
つまり自分で楽器も演奏してアレンジもして、エンジニアリングまでが求められるということだが、少なくともミックス、マスタリングは全くの別次元のものだ。
なので楽器も弾くしアレンジもトラック作りもするけどミックスはエンジニアにお願いするという人も多いだろう。
僕もその一人だ。
いままで自分のもの、他のアーティストのものも含めたくさんのアルバムを作ってきた。自分の本格的なスタジオまで作って、モダンジャズ、ヒップホップに特化したものだが録音までやるようになった。
しかしミックスは相変わらずよくわからず、毎回外注していた。
仕事を受けても、
『ミックスはやらないので他の人を雇ってください』
と事前に必ず確認していたし、実際そういう仕事のやり方をしている人をよく見かける。
それくらい『楽器演奏、アレンジ、録音』と『ミックス、マスタリング』
の間には大きな壁があると思っている。
しかしやはりミックスには予算がとてつもなくかかりフットワークが重くなるということや、人が増えるほど自分の納得がいくところまで追い込むのが難しくなるということもあり、なんとか自分でミックスをできないかと長年思っていた。
そして今アルバムが完成しツアーも行い、次のアルバムの制作を考え出したこのタイミングで本気でミックスにチャレンジしてみようと思う。
録音スタジオを作った時と一緒で、1から勉強し、周りのエンジニアにアドバイスをもらったことをまとめ、どんどんここでシェアしていこうとおもう。
ミックスの目的。
まずミックスの目的とはなんだろうか、情報を集めてみた。
・前提は感動するものを作るということ。
音楽として感動できれば多少歪でもバランスが悪くてもよいようだ。しかしセオリーを知らなくて良いわけではない。基本を学んだ後基本に沿ってやらないのは自由だが、基本を知らずに基本から意味もなく逸れるのはナシということか。この辺は楽器演奏と一緒のようだと感じた。理論通りにやる必要はないが理論を知らずに適当に演奏しても質の悪い演奏にしかならない。
・客観的な視点でより聞いてもらえるものになるかも。
自分でミックスする時の良さは自分の好きな方向性でとことん突き詰められることだが、自分の音楽を人に聞いてもらう音楽にするには第3者がどう感じるかを知ることも大事ということ。人の意見を必ず聞く必要はないが、ミックスに関しては心をオープンに色々な意見に耳を傾けることがプラスに働く場合も多いということか。
・ミックスのポイントを真ん中に持ってくる。
いいスピーカーで聴いてもiPhone で聴いても、どんな環境でも聴こえる音域でよい音楽/バランスを作る。
良いスピーカーでしか聞こえない低音部分などを曲のメインにしてしまうと、ベースが聞こえない環境で聞くとグチャグチャになって聞こえてしまう。
ミックス準備
まず自分のリスニング環境を整える。
【リスニング環境】
・スピーカーの大きさは部屋にあったものを
(僕はエンジニアの先輩に家に来てもらいアドバイスをうける。僕は6.5インチのfocalのスピーカーをチョイス。 メインのスピーカーが6.5インチ以下でのミックスはなかなか難しいかもとの意見。逆に部屋に対して大きすぎるものもNG。)
・スピーカーの土台はブロックや重いスタンドなど共鳴しないものを。
・部屋鳴りを抑えるために吸音材などを貼る。
・耳の高さにスピーカーを
・両耳からスピーカーの距離が等しくなるように
・スピーカーの前に何も物がないように
【リファレンス音源でチューニング】