より正しく、より潔白に。
失敗は許されない。
清く、美しく、他人と同じでなくてはいけない時代が加速している気がしている。
”正しい”道を少しでも外れた人を見つけるとみんなで一斉に袋叩きにする。
この多くの人が当たり前に振りかざす ”正義” は正しいのだろうか。
そして何故こんなことが起こるのだろうか。
音楽と切っても切れないお酒、大麻、そして覚醒剤。
ビバップは大麻を吸って聴く用に発達した、なんて言われている。
ミュージシャンはお客さん(や自分)が大麻を吸ってよりハイになれるような演奏、音楽を目指す。
実際に大麻を投与したマウスを使った実験では、他のジャンルよりもジャズに何倍も反応したという話もある。
そういう歴史の流れを知っているのと知らないのでは良い音楽とは何かを理解する上でだいぶ違いが出る気がする。
僕もアメリカに来たばかりのころ、
『ジャズはバラードでも速いテンポでも関係ない。人が踊るための音楽なんだよ』
と言われてからはどういう演奏をするべきなのかの判断がつきやすくなった気がする。
いまはクラブに行くとEDMなどがかかっていて、若者はそれを聴きながら踊る。
そんな感じで何十年も前のアメリカでは若者がダンスホールに行ってジャズの生演奏に合わせて踊っていたのだろうか。
ということは今から50年後の未来ではおしゃれで落ち着いたBarで夜景を見ながら静かにEDMを聴き、ノスタルジックな雰囲気に浸る、なんて文化ができているのかもしれない。その時50年後の若者たちにはEDMの”ウェーイ!”感はなかなか伝わらないだろう。
話は逸れたが、そんなことで今でもお酒を飲みながら刺激的なジャズを聴いて興奮する、という文化は残っているが、ここ10-15年ほどで特にミュージシャンには大きな変化が起きたような気がしている。
15年ほど前はNYのミュージシャンもまだまだ酒浸り、大麻浸りな人も多く、不摂生やめちゃくちゃな生活の人も大勢いた。
今では合法の大麻も当時もちろん違法だったし(自転車の二人乗りに毛が生えたような違法具合だったが)コカインなどの覚醒剤をやっている人もチラホラいた。
しかし今は大麻を吸う人は激減し、お酒も飲まない、早寝早起き、筋トレ/運動をかかさず、朝から大量のサラダとにこやかな笑顔。仕事の合間には読書と勉強。などという若いミュージシャンがほとんど。
教養もコミュニケーションスキルも学歴すら高いイケ野郎達が大半を締める印象。
人間の欲求は変わらないが、きっと彼らはより時代に対応した形に欲求を変換して満たしているのだろう。
どっかの科学的な偉い人が、
『人は動物で本質的には他人に暴力を振るいたいが、その欲求をスポーツ観戦や笑い、芸術などに換えて昇華している』
のだという。
より正しく、より潔白で、一度の失敗で国中の人から一斉攻撃を受ける今の時代には、より多くの欲求の昇華が求められているのだろう。
昇華とは
『社会的に受け入れられないような欲求を、社会的に受入れられるような芸術,宗教などの他の活動の形で表現、満たすこと。』
だという。
僕は何故音楽をやっているのかとふと考えた。
この世の中にあふれる無数の娯楽や芸術作品、宗教は、自分達自身で限界まで押さえつけた人間の本能の悲鳴なのかもしれない。
NYでは大麻は合法になったが、大麻を吸ってハイになって演奏を聴きにくる人はあまり見かけない。
お酒もそうだがアメリカでは嗜む程度で、日本のようにコントロール不能になるまで飲む人や、酔っ払ってる姿を人前で見せる人はほとんどいない。
刺激的な音楽を聞くだけで欲求は昇華されているのだろうか。彼らアメリカ人の欲望の昇華方法が気になる。
ちなみに最近は僕の周りの日本人ミュージシャンが次々と日本で大麻所持で逮捕されているが、なにも考えず”正義”という名の自分の価値観を彼らに振りかざし叩きまくっている人があまりにもたくさんいるので、
何故そんなことが起こるのか。他人を批判する人たちの目的はなんなのか。そして大麻と覚醒剤、アルコールの違い。法律についてなどを調べてみた。