
6月の日本ツアーも後半に入った。大阪が終わって、いまは札幌にいる。残るは札幌のソロと、東京のフルバンドだ。
今日は東京の日に向けて準備している、ひとつの試みについて書いておく。
当日演奏する曲のなかに、日本のリズムとジャズを混ぜた曲がある。盆踊りに近いリズムだ。
NYの音楽は、アフリカのリズムを土台に、ジャズやブルースやゴスペルが混ざって出来上がっている。その土台のアフリカのリズムの部分を、日本のリズムに差し替えてみた。新しいジャンルとして、今回バンドで初めて演奏する。
それだけでも自分にとっては挑戦なのだが、もうひとつコンセプトがある。来てくれた人が一緒に参加できる、歌のパートと手拍子のパートを作ることだ。
僕らミュージシャンは歴史のバトンを次に渡すために演奏するべきという話をしたが、同時に、来てくれたお客さんがどういう体験をするかも多少は考えるべきだとも思う。
僕を含めて、ほとんどのミュージシャンはお客さんがただ受け身で楽しめるものを提供しようと思っているし、それは一つの正解だと思う。
アメリカは日本よりも主体性が強い文化な気がするので、お客さんも日本よりも自分からイベントを盛り上げたり、よりいい雰囲気にしてミュージシャンがよりよいパフォーマンスができるように、拍手したり叫んだりしてくれる。
"いいイベントとは演者だけではなく全員で作るものだ"
という認識が強い。
それが正しいとすると、お客さんが担当する歌や手拍子のパートが最初から曲に組み込まれていれば、よりよい音楽、作品、イベント、体験になるのではないか。
もちろん、来てくれた人は参加せず見ているだけでもいい。よくわからない新しいものを、ただその場で浴びるだけで十分だと思っている。
ただ、自主的に音楽に加わりたいと思った人が参加できるパートを用意しておいたら、その一曲のあいだだけは、演奏する人と聴く人の境目が、少しだけなくなる。誰かが見せて、誰かが見る、ではなく、その場にいる人みんなで同じ一瞬を作る。そういう時間があっても面白いかもしれない。
盆踊りも、踊ってる人がいて、お祭りに来てる人がいて、イベントが完成する。
なんとなく音楽自体には特に意味のないパートを
"歌いたい人はどうぞ、手拍子したい人はどうぞ"
と添えるのではなく、音楽に必要不可欠なパートを、お客さんの自主性に任せる余白として準備しておく。そうすることで、なにか新しいものが生まれるかもしれない。
受け身ではなく、主体的に参加できる機会や仕組みを提供することも、僕たち音楽をやってる人の仕事の一つなのかもしれない。
今回のツアーも、そうやって聴く人とやる人の境目がなくなる一瞬を、来てくれた人と一緒に作れたらいいなと思っている。
今回のチャレンジ
お客さん用 歌詞パート
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歌詞:宵闇や 水流れゆく
足音が立つ 蛍飛ぶ道
風吹きし また歩く
意味:
真っ暗で静かな夜に、水が流れる音だけがする。蛍が飛んでいるこの道で、あなたの足音が聞こえた気がしたけれど、風が吹いただけだったかもしれない。気を取り直して、また歩き出す。
そんな意味のもの。
日本ツアー2026 Off Sync, Here
・6月12日(金)札幌 D-Bop Jazz Club:ピアノソロ
・6月15日(月)東京 COTTON CLUB:フルバンド